調教|坂路タイムは、語られるほど結果を変えない
「最終追い切りの動きが良かった」はよく聞く話です。では坂路の時計は、実際にどれだけ着順を左右するのか。生タイムのままでは比較にならないところから確認します。
9.0%ラスト1F上位10%の勝率
6.4%同・下位25%の勝率
2.6pt終いの速さによる差
87.0%坂路データがある出走の割合
まず、生タイムは比較に使えません
坂路4ハロンの実測タイムをそのまま帯分けすると、次のようになります。
| 区分 | 出走 | 勝率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 50〜52秒 | 1,886 | ||||
| 52〜54秒 | 12,299 | ||||
| 54〜56秒 | 17,712 | ||||
| 56〜58秒 | 7,303 | ||||
| 58〜60秒 | 3,504 | ||||
| 60〜62秒 | 4,663 | ||||
| 62〜64秒 | 12,316 | ||||
| 64〜66秒 | 22,993 | ||||
| 66〜68秒 | 22,876 | ||||
| 68〜70秒 | 16,618 | ||||
| 70秒以上 | 18,671 |
単調になっていません。 速い52〜54秒台が8.0%なのに、ずっと遅い62〜64秒台のほうが8.6%と高く出ています。
理由は3つ混ざっているからです。
① 追い切りと乗り込みが同居している(毎回全力で登るわけではない)
② 調教場の馬場状態で全体の水準が上下する(雨上がりは全馬が遅くなる)
③ 美浦と栗東で坂路の形状が違う
「今日の坂路52秒台は速い」と言えるのは、その日その坂路の中で比べたときだけです。
理由は3つ混ざっているからです。
① 追い切りと乗り込みが同居している(毎回全力で登るわけではない)
② 調教場の馬場状態で全体の水準が上下する(雨上がりは全馬が遅くなる)
③ 美浦と栗東で坂路の形状が違う
「今日の坂路52秒台は速い」と言えるのは、その日その坂路の中で比べたときだけです。
同じ日・同じトレセンの中での順位で見る
そこで、各調教を同じ日・同じトレセンで行われた全調教の中で何位かに直します(0%が最速)。馬場状態も坂路の形状も、これで揃います。
4ハロン全体のタイム順位
| 区分 | 出走 | 勝率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 上位10%(最速級) | 19,398 | ||||
| 上位10〜25% | 27,530 | ||||
| 上位25〜50% | 40,160 | ||||
| 上位50〜75% | 30,134 | ||||
| 上位75〜100% | 23,653 |
ラスト1ハロン(終いの伸び)の順位
| 区分 | 出走 | 勝率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 上位10%(最速級) | 20,940 | ||||
| 上位10〜25% | 29,268 | ||||
| 上位25〜50% | 39,676 | ||||
| 上位50〜75% | 28,645 | ||||
| 上位75〜100% | 22,346 |
効きます。ただし小さい。 4ハロン全体では上位10%が8.3%、下位25%が6.8%で差は1.5ポイント。ラスト1ハロンでは9.0%対6.4%で2.6ポイント。
終い(ラスト1F)のほうが、全体のタイムより効きます。 坂路は最後の1ハロンが最も急なので、そこで伸びるかどうかが状態を映しやすいのだと考えられます。
比較のために言うと、人気順による勝率差は33.1%対0.7%、馬体重でも5.7ポイントありました。調教タイムの2.6ポイントは、それらに比べれば小さな差です。
終い(ラスト1F)のほうが、全体のタイムより効きます。 坂路は最後の1ハロンが最も急なので、そこで伸びるかどうかが状態を映しやすいのだと考えられます。
比較のために言うと、人気順による勝率差は33.1%対0.7%、馬体重でも5.7ポイントありました。調教タイムの2.6ポイントは、それらに比べれば小さな差です。
そして回収率は単調ではありません。 ラスト1Fの単勝回収率は上から79.4%/72.3%/71.5%/62.8%/80.4%。最も遅い帯が最も高く出ています。
これは「調教が遅い馬を買え」という意味ではなく、調教タイムがオッズに織り込まれた結果、どの帯を買っても控除率ぶん負けるという当たり前の姿です。勝率に差があっても、その差が値段に反映されていれば儲けにはつながりません。
これは「調教が遅い馬を買え」という意味ではなく、調教タイムがオッズに織り込まれた結果、どの帯を買っても控除率ぶん負けるという当たり前の姿です。勝率に差があっても、その差が値段に反映されていれば儲けにはつながりません。
追い切りからレースまでの間隔
| 区分 | 出走 | 勝率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 中2日以内 | 67,631 | ||||
| 3〜6日 | 56,882 | ||||
| 7〜13日 | 9,509 | ||||
| 14日以上 | 6,878 |
直前(中2日以内)に坂路を使った馬が7.8%で最も高く、14日以上空くと6.6%。ただし間隔が空く馬は放牧明け・体調不良を含むので、間隔そのものの効果とは言えません。
直前28日の坂路本数
| 区分 | 出走 | 勝率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1本 | 3,443 | ||||
| 2本 | 4,517 | ||||
| 3本 | 5,235 | ||||
| 4本以上 | 127,705 |
本数が多いほど成績は良くなります(6.1% → 7.5%)。これも「乗り込めている=順調」という状態の反映であって、本数を増やせば走るという話ではありません。
トレセン別
| 区分 | 出走 | 勝率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 美浦 | 63,947 | ||||
| 栗東 | 76,953 |
栗東所属が8.1%、美浦所属が6.5%。よく言われる西高東低はデータにも出ています。ただしこれは所属馬の質の差であって、坂路の話ではありません。
このページの限界:
① 対象は坂路を使った馬だけ(全出走の87.0%)。ウッドチップ主体の厩舎の馬は入っていません
② 調教の負荷は厩舎の方針で大きく違います。同じタイムでも意味が違う
③ 併せ馬か単走か、馬なりか一杯か、といった情報は含んでいません
「調教は見なくていい」ではなく、「時計だけを見ても得られるものは小さい」というのがこのページの結論です。
① 対象は坂路を使った馬だけ(全出走の87.0%)。ウッドチップ主体の厩舎の馬は入っていません
② 調教の負荷は厩舎の方針で大きく違います。同じタイムでも意味が違う
③ 併せ馬か単走か、馬なりか一杯か、といった情報は含んでいません
「調教は見なくていい」ではなく、「時計だけを見ても得られるものは小さい」というのがこのページの結論です。
まとめ
- 生タイムの比較は無意味。追い切りと乗り込み、馬場状態、トレセンの違いが混ざる
- 同日同トレセン内の順位に直すと、4F全体で1.5pt、ラスト1Fで2.6ptの差
- 終いの伸びのほうが全体タイムより効く
- 回収率は単調でない。差はオッズに織り込まれている
- 間隔・本数の差は「順調さ」の反映であり、因果ではない
データについて: JRA-VAN Data Lab. で提供される中央競馬のレースデータをもとに、当サイトが独自に集計したものです。他サイトの集計や予想を転載したものではありません。中止・取消・失格などで着順が確定しなかった出走は集計から除いています。