対象 2023年1月1日以降 ・ 坂路調教のあった140,900走(全体の87.0%)

調教|坂路タイムは、語られるほど結果を変えない

「最終追い切りの動きが良かった」はよく聞く話です。では坂路の時計は、実際にどれだけ着順を左右するのか。生タイムのままでは比較にならないところから確認します。

9.0%ラスト1F上位10%の勝率
6.4%同・下位25%の勝率
2.6pt終いの速さによる差
87.0%坂路データがある出走の割合

まず、生タイムは比較に使えません

坂路4ハロンの実測タイムをそのまま帯分けすると、次のようになります。

区分出走勝率複勝率単勝回収率複勝回収率
50〜52秒1,886
9.2%
24.6%
78.0%
76.0%
52〜54秒12,299
8.0%
24.0%
74.0%
74.0%
54〜56秒17,712
6.8%
20.5%
68.2%
69.9%
56〜58秒7,303
6.5%
20.2%
68.6%
75.6%
58〜60秒3,504
6.3%
19.3%
68.9%
66.3%
60〜62秒4,663
8.1%
23.6%
64.1%
70.5%
62〜64秒12,316
8.6%
25.1%
74.1%
77.6%
64〜66秒22,993
7.9%
23.3%
71.5%
73.2%
66〜68秒22,876
7.6%
22.5%
77.0%
74.4%
68〜70秒16,618
6.7%
20.5%
67.5%
68.9%
70秒以上18,671
6.7%
20.0%
78.5%
70.7%
単調になっていません。 速い52〜54秒台が8.0%なのに、ずっと遅い62〜64秒台のほうが8.6%と高く出ています。

理由は3つ混ざっているからです。
追い切りと乗り込みが同居している(毎回全力で登るわけではない)
調教場の馬場状態で全体の水準が上下する(雨上がりは全馬が遅くなる)
美浦と栗東で坂路の形状が違う

「今日の坂路52秒台は速い」と言えるのは、その日その坂路の中で比べたときだけです。

同じ日・同じトレセンの中での順位で見る

そこで、各調教を同じ日・同じトレセンで行われた全調教の中で何位かに直します(0%が最速)。馬場状態も坂路の形状も、これで揃います。

4ハロン全体のタイム順位

区分出走勝率複勝率単勝回収率複勝回収率
上位10%(最速級)19,398
8.3%
23.9%
73.9%
75.2%
上位10〜25%27,530
7.6%
22.6%
70.3%
71.4%
上位25〜50%40,160
7.5%
22.2%
73.9%
73.4%
上位50〜75%30,134
7.0%
21.4%
68.0%
71.8%
上位75〜100%23,653
6.8%
20.4%
77.3%
71.0%

ラスト1ハロン(終いの伸び)の順位

区分出走勝率複勝率単勝回収率複勝回収率
上位10%(最速級)20,940
9.0%
26.1%
79.4%
78.5%
上位10〜25%29,268
7.9%
23.3%
72.3%
73.9%
上位25〜50%39,676
7.1%
21.3%
71.5%
71.5%
上位50〜75%28,645
6.9%
20.7%
62.8%
70.9%
上位75〜100%22,346
6.4%
19.6%
80.4%
68.9%
効きます。ただし小さい。 4ハロン全体では上位10%が8.3%、下位25%が6.8%で差は1.5ポイント。ラスト1ハロンでは9.0%対6.4%で2.6ポイント

終い(ラスト1F)のほうが、全体のタイムより効きます。 坂路は最後の1ハロンが最も急なので、そこで伸びるかどうかが状態を映しやすいのだと考えられます。

比較のために言うと、人気順による勝率差は33.1%対0.7%、馬体重でも5.7ポイントありました。調教タイムの2.6ポイントは、それらに比べれば小さな差です。
そして回収率は単調ではありません。 ラスト1Fの単勝回収率は上から79.4%/72.3%/71.5%/62.8%/80.4%。最も遅い帯が最も高く出ています

これは「調教が遅い馬を買え」という意味ではなく、調教タイムがオッズに織り込まれた結果、どの帯を買っても控除率ぶん負けるという当たり前の姿です。勝率に差があっても、その差が値段に反映されていれば儲けにはつながりません。

追い切りからレースまでの間隔

区分出走勝率複勝率単勝回収率複勝回収率
中2日以内67,631
7.8%
23.0%
73.7%
73.7%
3〜6日56,882
7.1%
21.4%
73.5%
71.1%
7〜13日9,509
6.7%
20.2%
61.0%
71.9%
14日以上6,878
6.6%
20.5%
68.8%
72.5%

直前(中2日以内)に坂路を使った馬が7.8%で最も高く、14日以上空くと6.6%。ただし間隔が空く馬は放牧明け・体調不良を含むので、間隔そのものの効果とは言えません。

直前28日の坂路本数

区分出走勝率複勝率単勝回収率複勝回収率
1本3,443
6.1%
17.5%
75.8%
67.1%
2本4,517
5.6%
19.2%
61.8%
71.0%
3本5,235
6.5%
20.6%
73.2%
68.9%
4本以上127,705
7.5%
22.3%
72.8%
72.8%

本数が多いほど成績は良くなります(6.1% → 7.5%)。これも「乗り込めている=順調」という状態の反映であって、本数を増やせば走るという話ではありません。

トレセン別

区分出走勝率複勝率単勝回収率複勝回収率
美浦63,947
6.5%
19.8%
71.6%
69.3%
栗東76,953
8.1%
23.8%
73.3%
75.2%

栗東所属が8.1%、美浦所属が6.5%。よく言われる西高東低はデータにも出ています。ただしこれは所属馬の質の差であって、坂路の話ではありません。

このページの限界:
① 対象は坂路を使った馬だけ(全出走の87.0%)。ウッドチップ主体の厩舎の馬は入っていません
② 調教の負荷は厩舎の方針で大きく違います。同じタイムでも意味が違う
③ 併せ馬か単走か、馬なりか一杯か、といった情報は含んでいません
「調教は見なくていい」ではなく、「時計だけを見ても得られるものは小さい」というのがこのページの結論です。

まとめ

データについて: JRA-VAN Data Lab. で提供される中央競馬のレースデータをもとに、当サイトが独自に集計したものです。他サイトの集計や予想を転載したものではありません。中止・取消・失格などで着順が確定しなかった出走は集計から除いています。

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